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2024年7月6日(土) フィールドワーク:印刷博物館
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今回のアートラボでは印刷業界を率いるTOPPANホールディングス株式会社に併設された印刷博物館を訪問しました。
博物館は1階の企画展やイベントを開催するP&PギャラリーとB1階の印刷の歴史を紹介する展示、技術を知ることができるコーナー、印刷工房から構成されています。 ■印刷の日本史・世界史 B1階には印刷の歴史の展示があります。「印刷の日本史」を大きな柱とし、印刷の歴史とその技術的進歩を紹介されており、展示の一部では、「印刷の世界史」を年表形式で示し、実物資料を展示しています。 歴史的に重要な印刷物が多数展示されており、その中からいくつか紹介します。 。 |
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・徳川家康が作らせた銅活字(重要文化財) 博物館の唯一の重要文化財として展示されている駿河版銅活字は、江戸時代初期に徳川家康が作らせたものです。当時の活字による印刷は木活字が主流でしたが、家康は自身のステータスを示すために高度な技術と資源が必要な銅活字も使用しました。 ・二つの歴史的な書物 まずはグーテンベルクが印刷した最初の聖書です。ラテン語で書かれており鉛の鋳造活字で印刷され、見出しや装飾部分は手書きで仕上げられました。 次に紹介するのは、ルターがドイツ語に翻訳した聖書です。これは宗教改革の一環として制作され、誰でも読めるようにドイツ語で書かれ、挿絵も添えられています。この翻訳聖書は多くの人々に宗教的知識を広め、宗教改革の推進力となりました。 |
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・最も人気のある展示品の一つ「解体新書」 杉田玄白の「解体新書」は日本伝統の木版印刷で制作され、挿絵がシンプルであるのに対し、大槻玄沢の「重訂解体新書」はヨーロッパから伝わった銅版印刷(凹版)を採用し、細かい線や濃淡の表現が可能となっています。 ・学問のすゝめ 福沢諭吉が著書「学問のすゝめ」を出版する際、初版は金属活字で印刷されましたが、注文が殺到したため、木版印刷に戻りました。そのため、現存する多くの本は木版印刷のものです。また、当時は著作権がなかったため、海賊版も多く出回りました。 |
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遠い昔から現代までの印刷の歴史を歩きながら知り、教科書で学んだ有名な書物の実物を見ることができる博物館です。 技術の向上やニーズの変化によりデザインの形というのは変化をしつつも、明治時代にはすでに人の目を引き付けるために鮮やかな色彩を持つ染料を印刷で使用するなど、流行による変化はありつつも今も昔も人間の考えるデザインの基本は普遍的であるのかなという印象を受けました。 |
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■「GRAPHIC TRIAL」 1階 P&Pギャラリーで行われていた「GRAPHIC TRIAL」は今年で18回目になり、デザイナーさんやアーティストさんが、グラフィックの可能性を印刷で探りいろんな挑戦をしてポスターを作るというのがコンセプトとなっています。 今回は5名のクリエイターの本当に個性ある4つの世界が並びました。 日比野克彦さんの作品はVRのゴーグルをかぶって、空中に絵を描いたものをどうやって印刷物にするのか。フォトショップ、イラストレーターなどの中で印刷データに変換し印刷して、空中に浮いているように浮遊感を出したというトライアル作品になっています。 |
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他にも瞬間的に乾燥させることができるUVインキを印刷できる特殊な印刷機を用いた作品、とても珍しい特殊な印刷で紙にパイルを印刷した作品など、実際に触れることができる展示で印刷と表現の可能性を知ることができました。
最後に、デザインの役割や問われるものとして考えられる情報伝達という意味での計画性とアートの違いについては 「デザイナーさんが勝手に好きなものを作ると言ったら、それは作品になってしまう。クライアントの目的にデザイナーは応える。プラスアルファで、自分のやりたい表現を、そこに出していく。これがグラフィックデザインの役割。」とのお話しでした。 |
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紙の印刷が減ってスマホやPDFでも十分だという流れの中、たくさんの若い方がP&Pギャラリーを訪れており関心の高さを感じられる今回の訪問でした。
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