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2025年4月5日(土) フィールドワーク:「鎌倉市鏑木清方記念美術館+鎌倉彫」
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4月のフィールドワークでは、「鎌倉市鏑木清方記念美術館」と鎌倉彫の後藤久慶氏の仕事場兼ギャラリーを訪問しました。 鶴岡八幡宮へと通じる若宮大路の桜は満開、小町通りも観光客で賑わっています。小町通りから少し入った閑静な住宅地の中に鏑木清方記念美術館はあります。 |
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和風建築の邸宅のような入り口をくぐると、奥に美術館の建物が現れます。日本画家鏑木清方が住んでいた土地を利用し1998年に開館しました。館内には清方の画室もそのまま再現されています。 鏑木清方は1878年東京神田の生まれ。戦禍で自宅を焼失し、68歳の時に鎌倉へ移住後、93歳で亡くなるまでこの地で暮らしました。 さて、今回の企画展のテーマは「着物の美−清方美人の着こなし」です。アートラボの今年の総合テーマ「美術における衣食住」の衣カテゴリーに入るかと思います。学芸員さんのお話を聞く機会を得て、清方について理解を深めることができました。 |
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現在では着る機会が減ってしまいましたが、明治、大正、昭和の前半では人々は日常的に着物を着て生活していました。鏑木清方は着物姿の女性の姿をとらえ、その美しさを多く描き残しています。洗練された着こなし、帯を締めた後ろ姿、襟足、うなじなど着物ならではの魅力が表現されています。 家族のために着物をキャンバスのようにして直接描くこともありました。娘さんの婚礼用打掛に描かれた紅梅は特に圧巻です。清方が尊敬していた酒井抱一への想いも作品に表れているようです。 《早春」という屏風に描かれた作品は、絵絹の裏から金箔が貼られ、全体的に穏やかに光っています。室内に飾ることを前提に描かれたため強い色は使われず、淡いスミレ色のショールなど柔らかな色と柄の装いが絵に溶け込むようにマッチしています。 |
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《嫁ぐ人》は、結婚予定の女性を中心にいろいろな年代の女性たちが描かれ、当時の装いやファッションが伺い知れて興味深い作品です。学芸員さんの解説によると、「雪月花」にちなむものが画面の中に配され、鸚鵡やトベラの木が描かれている点からも、さまざまな寓意が込められた説明的な絵でもあるとのことでした。挿絵画家であった清方ならではの表現と言えるのかもしれません。 清方は挿絵画家を目指して、歌川国芳の流れを汲む水野年方に入門し研鑽を積みました。絵を描く以外にも、着物のデザイン、文筆業など仕事の幅を広げ生涯にわたって活躍しました。 |
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美術館を後にして、鶴岡八幡宮の前を通り抜け、鎌倉彫の後藤久慶氏の仕事場兼ギャラリーにお邪魔しました。 久慶氏は、鎌倉時代に活躍した仏師・運慶の子孫であり、代々受け継がれた鎌倉彫の伝統を守るとともに、現代アートとしての鎌倉彫を模索し精力的に活躍されています。 |
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鎌倉彫は、彫刻した木地(素地)に漆を塗った漆器で、数多くの工程を経て手間をかけて作られる伝統工芸品です。ルーツは仏師による仏像や仏具の制作でしたが、明治時代の廃仏毀釈により、その技法は日常生活で用いるものに活かされるようになりました。 |
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大きな八角形の鉢は、現在は入手しにくい桂の木材の代わりに将棋盤を用いてみたもの。その重厚で立派な表現には驚かされました。親子の達磨が彫られた硯箱は先代の作品で、まるまるとした達磨を彫るのはなかなか難しいそうです。 |
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春の鎌倉の風情を感じながら、着物、日本画、伝統工芸と価値あるものに触れる体験ができました。そして、衣食住と、芸術は互いに切り離せないものであるとあらためて感じさせられました。 書記:安田 |
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